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時雨 [12月]

寒くて
暗くて

寂しくなって
悲しくなって

辛くても
耐え忍んで

苦しくても
食い縛って

雲の切れ間から
差し込む陽射しに

涙が溢れるから

遠い彼方へと
離れてしまわないように

繋ぎ止めることが
できるのなら

どうやって
辿り着ける

どうやったら
巡り逢える

遠くても
叶うと信じた

放れても
届けと願った

凍えるほどの
辛さは

あなたの熱を
引き寄せて

凍てつくほどの
苦しさは

あなたへの愛を
呼び覚ます

星空 [12月]

今日は
星が零れ落ちるような夜空

星の瞬きは儚く輝き
照らす淡い煌めきが

確かな温もりを
心に届ける

明日も
あなたに頻降るような愛情

感じるほど波打つように
寄せては返し揺らめいて

消せない想いを
記憶に刻む

寒くはないと
寂しくはないと

辛くはないと
独りじゃないと

まるで
触れられているみたいなのに

本当に
愛されているみたいなのに

消えないように
守ろうともせず

溶けないように
触れられもせず

幻を疑うこともなく
愛を訝しむこともせず

信じているだけ
愛しているだけ

小さな幸せは
毎日降り注ぐ

あなたへの愛が
変わらず降り頻る

溺愛 [12月]

心の中までは分からない
だから知らなくていい

本当のことなんて
真実なんて

何の糧にもならないから
何の足しにもならないから

あなたが奏でる
言葉だけを信じる

あなたが導く
行動だけを信じる

信じられなくなったら
終りということ

終わらせないように
ずっと信じさせて

終りが来ないように
もっと信じさせて

心が壊れそうで
疑いに負けてしまいそうで

信じられなくなる
あなたが見えなくなる

あなたの熱で
溶けそうになるの

あなたの愛に
溺れそうになるの

夢が溶け出していく
もう形にもならない

愛が乱れ崩れていく
もう元には戻せない

玩弄 [12月]

出口のない迷路は

迷路だということにすら
気付くことなく

終わりを告げられてしまう

これで終了

始まりも終わりも
選択権などない

いつの間にか
勝手に始まっていた遊戯は

与えられることと
奪われることを

繰り返し

息つく暇なく
引き摺られるように

長い時間をかけて
嬲られる

簡単な決まり事の
分かりきった遊戯を

どう進めるのかと
必死で考えて

更なる上へと
まだもっとと

欲張るだけの
価値があるのか

甚だ疑問で
やる気すら起きない

とっくの昔に匙を投げた

どんな思いも
自分では止められなくて

現実に似気無い
思いですら

自分のモノだと

無理矢理
認識させられる

どんなに幸せでも
どんなに苦しくても

何一つ実感がなかった

これが自分だと
何故言える

こんなもの
始めから望んでいなかった

こんな遊戯
何度もやめてしまいたいと思ったし

実際に
やめてしまおうとさえしたのに

いつも
得体の知れない何かに
引き戻され

飽きもせず
続けるしかなくて

今日も
先の見えない迷路を
迷いながら進んでいる

どの途を選んでも
どれだけ進んでも

辿り着く先は同じ

手にできるものは同じ

何をこんなに必死に
頑張るのかわからない

これが正解だと
どうして言える

皆が必死でやってる
この遊戯を

どこか馬鹿にしつつも
捨てられずに

まだ続けている自分を
憐れんでいる

あなたは
どうして続けているの

あなたは
まだ続けるつもり

あなたに出逢って

きっとこれは
全力で走りきった人が

勝ちなんだと
思うようになった

辿り着くまでの時間はちぐはぐ

同じはずの終りが
人によって
行き当たる先が違うように

自分が選択した結末から見る景色は

迷路で繰り広げられてきた
障害物と自分自身との
選択と決断の連続で

全く異なるものになる

一つを得て
一つを失う
利益の伴わない行為

それが
何かなんて
関係なくて

新しい何かを生み出し
古い何かを捨てていく

どちらが欲しい
何が重要
どうしたいのか

いつも試される

今見ている風景が
人によって違うように

今でさえ
昨日とは違う自分がいるのに

その先なんて
分からないから

ただ進むしかなくて
ただ信じるしかなくて
ただ走り続ける

迷いながら
泣きながら

転んでも尚
走り続ける

傷ついた身体から
赤黒い血が流れる

壊れた心から
悲鳴のような鼓動が聞こえる

喚いても
叫んでも
止められない

他に理由や方法が見つかれば

簡単にやめるだろうけど
それが見つからない

自分を見捨てずにいてくれる人が
同じ遊戯で苦しんでいるから

一人で強制終了なんてできなくて

白紙に戻したくても
あなたの顔が忘れられなくて

納得してないし
無駄だと思うし

馬鹿げてるとさえ

今でも
思っているけど

続けてみるよ

あなたが教えてくれた

続けていくことの意味
迷うことの辛さ
信じることの強さ

もしかしたら
違う何かに出逢えるのかもしれないから

今なら分かる

いつも護ってくれていたのは
いつも正してくれていたのは
あなたの存在

迷路は

迷えば迷うほど
傷つき

長ければ長いほど
途方に暮れる

その中で
あなたに出逢って

どうにか
今まで
生きて来られた

どうにか
まだ
この途を歩んでいる

だから
もう少し
迷ってみようと思う

苦しみながら
楽しみながら

たとえ涙が止まらなくても

どんなに時間がかかっても

あなたと共にいられなくても

一人でも構わない

進むことはやめない

ただ
あなたを信じる

模様 [12月]

同じことを
同じ状況を
同じものを

同じように
感じられないから

一緒にいる意味がある

あなたといれば
違う自分になれるから

あなたと一緒なら
知らない世界を見れるから

あなたの傍なら
怖くなくなるから

同じ何かを
手にする必要がない

ありのままより
刺激的

豹変というには
自然過ぎて

時々こうして
他愛もない時間を
共有しているだけで

あたたかな
時が流れる

自然と
微笑んでいる

それが
こんなに幸せなことだと
昔は気付かなかった

こんなに傍に
あなたがいる

安心する場所
幸せを感じる時間

それが
ここにある

いつも
噛み合わないけど
憎まれ口ばかりだけど

泣いたり笑ったり
忙しいけど

一周巡って
また笑い合って
元気になっている
自分がいる

独りでいいと
手離した時期も
あったけど

結局また
戻ってきた

ここに

あなたがいる
ここに

親子でも
兄弟でも
友達でも
恋人でも
夫婦でも
なくて

ましてや
仕方なく
付き合う人でもない

どんな関係で
どんな距離で
どんな歴史で
どれだけの深さかなんて

この繋がりを表すものは
いろいろとあるけど

どんなものでも
構わない

今さらこれだと
いう必要もないし
そんなもの
関係ないから

これから
変わってしまっても
構わない

出逢えた

それだけで
充分だから

いてさえくれればいい

わたしとあなた

小さな存在でも
こんな眩しい世界を
創り出す

私たちでなければ
知らなかった
見れなかった
感じられなかった
世界

誰かのためではなくて
何かのためではなくて

ただ
一緒にいる人

とっても
一緒にいたい人

艱苦 [12月]

零れ落ちそうな紅唇から
飾り立てるような嘘で彩る

虚構が輝いて見えて

それでいいと
それが欲しいと

手を伸ばしたら
指で触れたら

簡単に溶けて
束の間に消えて

夢から醒めた現実は

認められずに
諦めきれずに

虚脱した身体が
未だ忘我の心が

彷徨ったまま
悲鳴を続けている

眼を閉じれば
耳を塞げば

心を閉ざせば
愛を語れば

救われるだろうか
赦されるだろうか

全て嘘だと知りながら
真実に背きながら

唇から滴り落ちる嘘を
指で拭えば

指から零れ落ちる愛を
心に終えば

もう傷つかない
もう悲しまない

何度誓おうとも
何の決意にもならず

凄然たる炎を指で触れれば
熱も感じず

犀利な針で指を刺せば
痛みも感じず

自分が何者なのかさえ
誰も教えてはくれない

自分が生きているのかさえ
何も証明にはならない

手燭 [12月]

嘘を暴いたりはしないから

僕の前では
幸せだと微笑んで

今を壊したりはしないから

あの時の選択は
間違いじゃないと言って

今でもすぐに
触れてしまいそうになる

走り出してきつく
抱き締めてしまいそうになる

そんなこと
誰も望んでなどいないのに

こんなこと
誰に言えるはずもないのに

後悔などしていない
戻るつもりもない

思い悩んだりはしない
忘れるつもりもない

いつまでも
苦しめばいい

それが愛した証なら
いくらでも傷つくよ

終わりなく
悲しめばいい

それが二人の未来なら
ちっとも怖くないよ

大切なのは
当てのない未来じゃないから

大事なのは
出逢わない人じゃないから

大切な時間を過ごした記憶が
今も当たり前に耀いて

大事な人と愛した事実が
今でも僕を放さない

怒らないかな
僕は幸せだと言ったら

困らせるかな
今も愛してると言ったら

光霊 [12月]

ずっと嘘をついて
ずっと蓋をして

見ないように
気付かないように
感じないように

逸らして
逃げて
欺こうとした

そうすれば

これ以上
苦しまなくて済むと
思ったから

これ以上
強く求めずに済むと
思ったから

いくら逃げ惑っても
いくら走り去っても

あなたの翳から
逃れられるはずもなく

再びあなたの元に
戻ってきてしまう

あなたはもういないのに
あなたはどこにもいないのに

二度と手にできない温もりを

まだ覚えているから
まだ忘れられないから

いつになったら
あなたを手放すことが出来るだろう

いつになったら
あなたを忘れることが出来るだろう

ずっと考えてる
ずっと想ってる

ずっと立ち止まっている

ここから動かずに
あなたを待ち侘びている

こんな状態で

いくら考えても答えなんてなくて
あなたを忘れられるはずなんてなくて

こんな残酷な現実を
どうやって受け入れられる

待っても来るはずのないあなたを
来ないと分かっているあなたを

いつまで待ち続けるのか
私にもわからない

もうやめようと
消してしまおうと

何度思っても
何度誓っても

できそうにない
できるはずもない

いくら
強く刻んでも
私にはできなかった

いつか
この痛みを
手放せる時が来たら

いつか
あなたから
放れる日が来たら

あなたは笑って
祝福してくれるだろうか

それとも怒る

いつか忘れる日が来るとしたら
その日まで

忘れられないとしたら
ずっとあなたのことを想い続けて

生きていく
生き続ける

それは赦してくれるかな

今でもあなたが
愛してくれていると感じる

あなたの変わらない愛が
私の心から放れない

姿が見えなくても
声が聞こえなくても
もう触れられなくても

まだ覚えてる
ずっと覚えてる

こんなに鮮明に
こんなにもはっきりと

泣いても
泣いても

いくら泣いても
涙が枯れることなく

心まで
濡らしてしまうほど
泣き崩れた

私を赦して

護れなかった

あなたを失って
心が壊れていくのを

止められなかった

今も答えは出ない

思い出にすればいいのか
忘れればいいのか

何がいいのか
どうすればいいのか

どうすることもできないと
どこかで分かっていて

それでも
答えがなくても

ずっと今でも

あなたに
会いたいよ

未敷 [12月]

ゆっくりと開けば
焦らすように開けば

少しずつ
少しずつ

馴染むように
蝕むように

受け入れていく
溶け込んでいく

いつしか
諍うことさえ忘れて

いつしか
当たり前のように存在して

まるで満ち溢れるように
まるで零れ落ちるように

簡単に触れられる
簡単に堕ちていく

これが事実でしょう
これを求めたでしょう

どこまでいけばいい
どこまでやればいい

もう止めようがなくて
もう終えようがなくて

往き付く先まで流されたら
漂う先まで辿り着いたら

もっと受け入れてくれるの
もっと愛してくれるの

あなたが
切り開いておきながら

強引に
抉じ開けておきながら

何もなかったように
消えてしまうの

何もなかったように
棄ててしまうの

引き千切るように奪えば
手に入るとでもいうのだろうか

こんなにも儚く
こんなにも脆く

こんなにも美しく
命の花を散らして
往くのに

零度 [12月]

もし辛いとしても

あなたを愛していれば
何も怖くなかった

もし怖いとしても

あなたの腕の中なら
何も疑わなかった

他のことなんて

あなた以外の
ことなんて

何の意味も
なかったから

特別な価値なんて
なかったから

きっと
あなたとなら
何だってできる

きっと
あなたと一緒なら
何だって乗り越えられる

わたしにはできないと
思っていたことを
あなたは叶えてくれるから

私には無理だと
諦めていたことを
あなたは実現してくれるから

辛いなんて
怖いなんて

いつからか
思わなくなっていた

気付けば
なくなっていた

どんなに辛くても
どんなに怖くても

あなたは変わらずに
微笑んでくれるでしょう

あなたはいつまでも
抱き締めてくれるでしょう

あなたの微笑みは
私のもの

あなたの温もりは
私だけのもの

それだけでいい

他のことなんて

あなた以上に
大切なものなんて

何もないんだよ