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淵源 [05月]

泣いても

泣いても

いくら泣いても

事実は
変わらなかった

待っても

待っても

ずっと待っても

現実は
変えられなかった

零れた水は

どうやったら
元通りになる

壊れた物は

どうすれば
元に戻せる

叶えたいのは

夢なんかじゃなくて

あなたと
共に生きたはずの未来

願うことは

幸せなんかじゃなくて

あなたと
愛を誓うはずの明日

私はあの日に
留まったままで

前には進めない

私は過去に
住んだままで

未来には暮らせない

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万朶 [05月]

心が
そこから離れない

心が
そのまま動かない

頑張っているのを
知っているから

頑張ってとは
言えない

どうしても
離れたくないから

頑張らないでとも
言えない

笑顔を見せたいのに
涙が溢れる

泣きたくないのに
涙が零れる

涙を拭かないと
いけないよね

ちゃんと笑わないと
いけないのに

もういいんだよって
まだ言いたくない

よく頑張ったねって
全然言えなかった

最後まで僕は
我が儘だったよね

ずっと君は
頑張ったよね

笑えるくらい
弱い僕と

泣けるくらい
強い君

君を想うほどに
涙しか出てこないのは

まだ愛しているから

愛を願うほどに
君ばかりを探すのは

ずっと傍にいるから

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紀年 [05月]

ずっと昔

遥か昔

あなたに伝える
言葉なんてなかった頃

湧き上がる想いに
意味なんてなかった頃

私はどうやって
愛していたのだろう

あなたはどんなふうに
愛してくれたのだろう

きっとあなたは
私を見詰めていたはず

今と変わらず
優しい瞳で

きっとあなたは
私に触れていたはず

今と同じ
温かな掌で

愛してるって
言葉じゃ届かないから

ありがとうって
いくらでも伝えたくて

祈り願い

紡ぎ繋ぐ

あなたに導かれ
ここに生まれた

あなたを中心に
時間は繞る

果てしない瞬間は
変わらず今に至り

通常の日々は
小さな変化に彩られる

愛という名の
手触りを覚えている

愛と呼ばれる
温もりが残っている

愛と疑わぬ
あなたに出逢ったから

愛と知ってる
あなたが愛おしい

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懐疑 [05月]

今あるここが
自分の全てなら

自分のために守る

それでも僕は
こんなにも弱い

今ある全てが
人のものなら

その人のために戦う

それでも私は
こんなにも苦しい

一度の間違いで
全てを責める

一回の失敗で
全員を傷つける

人はそんなに強くない
誰もそんなに正しくない

何を公正とし
何が不善なのか

答えは一つじゃない
誰も一人じゃない

自分の正義で
人を傷つける

自分の基準で
物事を図る

不完全で
不整合で

それでも必死で
変わらなくとも

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想望 [05月]

あのまま

あなたの前で
泣いてしまえばよかった

泣けるのなら

後先考えずに
泣いてしまえばよかった

だけどそんなことしたら
知られてしまうでしょう

あなたに

気づかなくていいのに
知られてしまうでしょう

この想いを

前にも進めない
後にも戻れない

立ち止まるしかなくて
立ち尽くすしかなくて

遠くで降る雨の音が
こんなにはっきり聞こえても

近くで語り掛けるあなたの言葉は
何一つ聞き取れなくて

何て

言っているの

何を

話しているの

あれからどれ程の
時間が経っただろう

もうそこに
温もりはなくて

必死に堪えても

泡沫のあなたは
ぼやけたままで

目を逸らしても

あなたを思う気持ちは
何も変わらなくて

今も何も変わらないのだと

絶望の淵で
滑稽な自分を笑っている

今だって何も変わらないことが

幸せなんじゃないかと
また笑みがこぼれるから

あなたを感じるだけで
こんなにも簡単に

幸せになれるんだよ

あなたを思うだけで
こんなにも容易に

涙が溢れるんだよ

在世 [05月]

夢の見える町

あなたとなら
感じないものなんて

きっと何もなくて

愛に触れる家

あなたとなら
不安になるものなんて

ずっと何処にもなくて

安らぎは
与えられるものではない

幸せは
与えるものではない

いつもあなたの
愛に触れているから

怖いもなんてない

どこでもあなたの
愛を覚えているから

不安になんてならない

ここで生きようと思う
あなたと生きたいと思う

たくさんのものに溢れても
心がなければ幸せじゃなくて

たくさんの人に満たされても
あなたじゃないなら嬉しくなくて

私の心は
あなたの愛の中だから

私の涙は
あなたが拭いてくれるから

たった一人の時間さえ
怖くなんてない

これからの未来さえ
疑ったりはしない

松籟 [05月]

願うのは

あなたの安らぎを
僕が与えられること

探すのは

あなたの心に
僕の居場所があること

見詰めていても
不安になる

触れていないと
心許なくなる

そんなことが
在る筈がないと

そんなことを
願ってはいけないと

押し殺していた思いが
気付かないふりをした想いが

すぐに押し潰そうとするから
すでに壊れてしまいそうだから

このまま見詰めていたら
消えてしまうでしょう

このまま触れていても
飛んで行ってしまうでしょう

どうしたら
繋ぎ止められる

どうすれば
一緒に居られる

あなたとの時間が
夢のような現実が

諍う術なく
解けてしまう

成す術なく
零れ落ちてしまう

大切な人を失って
耀きが消えてしまって

あなたは僕が
幸せになれるというの

あなたは僕に
幸せになれというの

ずっとこのまま

あなたの傍に居させて

ずっと今のまま

あなたの隣に居させて

凄艶 [05月]

泣かないで

そんな声で
名前を呼ばないで

見詰めないで

その瞳で
心まで見透かさないで

触れて
しまいそうになるから

壊して
しまいそうになるから

愛して
しまいそうになるから

揺れると惑わし
触れれば逃げる

見詰めれば逸らし
感じれば離れる

愛せばどうなると
抱き締めればどうなると

君は何も
俺には何も

伝えてくれない
返してくれない

こんなにもはっきりと
俺を感じているのに

君の腕は
こんなにも華奢で

君の手は
こんなにも蒼白で

君の指は
こんなにも繊細で

触れるもの全てを
優しく愛する

触れれば
きっと色付いてしまうから

抱き締めれば
きっと壊れてしまうから

もう
放れるしかなくて

それが
こんなにも怖くて

魅せられて
惑わされて
苦しくて

君の傍にいることを

瞞しのように
俺から
奪っていく

君の隣にいることが

こんなに辛くなるなんて

触れずにいたら
守れるだろうか

愛していたら
気付くだろうか

君が辛い時に
抱き締められないのなら

君を守るために
放れるしかないのなら

生まれたことさえ
出逢ったことさえ

感じた全てを
俺の全てを

消してしまって
構わない

憶持 [05月]

大切な何かを育むために
大切な何かを諦めてきた

この選択で後悔はないと
言えるだけの覚悟

この決断で振り返らないと
言い聞かせるための条件

もう後悔なんてしない
もう諦めたりなんてしない

失ってばかりで
怖がってばかりで

人と比べて落ち込んで
何かを欲しがって喚いて

人が当たり前に

持っているものさえ
持っていない

人が当然のように

幸せだということが
幸せじゃない

蔑まれて
傷つくことで手に入れた

疎ましがられて
苦しむことで見えたもの

そんな生き方
望んだつもりはない

こんな生き方
するつもりなかった

それでも
自分の選択は今へと繋がり

これから
今の決断が未来になる

だとしたら
まだ希望があるから

だとしても
また逢えるから

だからまだこうしていて
そしてまた生きていける

齟齬 [05月]

あなたが見つけた私は
あなたを愛してはいけない人で

私が愛したあなたは
私を愛してはくれない人だった

始めから
分かっていたはずなのに

自分を
気持ちを

止めることなんて
できなくて

あなたへ堕ちていく
あなたに溺れていく

これを止める術など
堕ち往く最中に

どうやって
見つけ出すことが
できただろう

あなたを諦める術など
崩れ往く最中に

どうやって
探し当てることが
できたというのだろう

全てが嘘ばかりで
全てが輝いて見えた

まるで
愛しているかのように
愛されているかのように

嘘でも
偽りでも

幻でも
瞞しでも

あなたであれば
あなたがいれば

それで良かったから

それ以上
何もいらなかったから

失うことを
いくつ繰り返しても
慣れることがない

激しい痛みは
何を知らしめたいのか

分からなかった
分かっていなかった

流れるほどに
手から離れていく

感じるほどに
私から放れていく

何も言えなくて

何もできなくて

何もない

ただ目の前で
全てが
失われていくだけ

崩れていくのに
朽ちていくのに

何もできずに
立ち尽くすことしか
できない

棄ててしまった

壊してしまった

もう元には
戻らないことだけは

何もしなくても
動かなくても

痛いほどよく理解している

こうしていればいい

何もできないのだから

いつからこんなに
大切なものを簡単に
捨てられるようになったのだろう

いつからこんなに
理不尽な言い分に
聞き分け良くなったのだろう

失ったのは

あなただけではなく
あなたを愛した私自身

棄ててしまったのは

あなたと
あなたを愛した私の心

愛することも
愛されることも

失うことも
棄ててしまうことも

どちらも変わらない

どちらもこんなにも
激しい痛みを伴うのだから

どちらも
間違っているのだと

始めから
間違っていたのだと

やっと気付いた