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詮術 [09月]

ただ愛を誓うために
生まれてきたわけじゃない

ただ夢を見るために
生きているわけじゃない

現実から伸びる手は
肉体を離してはくれない

幻想へと導く魂は
精神を繋ぎとめたまま

ここで生きるから
今がある

こうして生きているから
未来に繋がる

何も知らずに
生きられるのなら

決して
傷つかなかった

誰にも関わらずに
生きるのなら

誰も
傷つけなかった

それを
幸せとは呼ばないし

それは
幸せにしたりしない

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濫觴 [09月]

生きてる意味を探しているなら
僕がいくらでもあげるから

安心して前を向いてよ

生きている価値が必要なら
僕がいくつでも渡すから

笑って一緒にいこうよ

立ち止まったっていい

逆戻りしても構わない

どんな君でも
手は離さない

ずっと君となら
愛は消えない

独りじゃないし

一人にしないから

君のために生きて

僕のために生きて

何かが傷つけた
君の心は

これからたくさんの
愛に触れる

誰かに傷つけられた
君の過去は

ここからたくさんの
人に繋がる

道は自分で歩いて作るもので
何の証明もいらない

夢は自分が思い描くもので
誰の許可もいらない

どうか
自分から手放さないで

僕の手を離さないで

どうか
自分から諦めないで

僕の心を見限らないで

君が強いように

僕だって弱くない

今がどれほど醜く感じても
君はとても美しい

今は何も美しく見えなくても
僕はずっといる

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爾曹 [09月]

この薄汚い
空っぽの部屋で

嘘をついて
私のために

死んでも構わないから
ちゃんと愛して

この泥まみれな
世界の片隅で

罪を犯して
私のために

一緒に死ねるから
もっと愛して

煩い鼓動で
壊れてしまう前に

早く抱いて

零れる涙が
乾いてしまう前に

私を愛して

生まれる前から
罪深いと

何度この吾儕を
怨んだことだろう

生まれてきたことが
間違いだと

何度この人生を
呪ったことだろう

白と黒が混じり合って
簡単に穢れていくように

ただ堕ちていく

善と悪が戦いながら
その意味を変えるように

ただ消えていく

どれほど傷ついても
どれほど憎んでも

意味のないくだらないだけの
この世界は

呆れるほど美しい

全てが消えたとしても
誰かを失ったとしても

この残酷で無様な世界で
あなたは

生きるべきだ

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想念 [09月]

君の考えなんて
お見通しで

自分のこの想いも
覚えがあって

それでもまだ

どうしてまだ

辛い思いは
消えないのだろう

ちゃんとこんなに

ちゃんとこうして

笑っているのに
なくならない

どこか不安で
泣きそうな顔をする

その瞬間を
見逃さないのに

すぐに笑顔の
後ろに隠れた

その思いは
消してしまったら

何かが
壊れるだろうか

この事実は
なくしてしまったら

全てが
崩れるだろうか

君だって
分かっているでしょう

僕の気持ちなんて

隠そうともしない
明け透けなものだ

君だったら
気付いているでしょう

僕の本心なんて

偽ろうとさえしない
あからさまなものだ

言葉にしなくても
伝わっているよ

君の考えなんて
お見通しだから

何も言わなくても
分かっているよ

君の想いは
知っているから

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寂光 [09月]

遠い記憶に残る
あなたの声

ずっと前から
知っている

暗闇でも迷うことはない
一筋の道標

遥か奥の記憶を
呼び起こす

低くて深い

魂を揺さぶる
あなたの声

重くて厚い

魂を揺り動かす
あなたの声

これからも決して
消えることはない

あなたの掩翳で
ここまで来れた

あなたの声を頼りに
繋いでいく

過去から今へ

これから先を照らす
あなたの声

今までもずっと
知っていた

暗闇をも突き進むための
愛を授ける力

遥か先の記憶を
創り上げる

明るく眩しい

心を揺らめかす
あなたの声

光り輝く

心を揺すぶる
あなたの声

これからも決して
放れることはない

あなたの光彩で
ここから歩む

あなたの声を信じて
紡いでいく

今から未来へ

途切れることのない
曠劫の時空へ

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幣物 [09月]

欲しいのは
完全なる形じゃない

願うのは
安心する答えじゃない

祈るのは
繋ぎ止める強さじゃない

あなたさえ
いればよかった

それなのに

たった一つの願いさえ
叶わなくて

あなた以外
いらなかった

それなのに

たった一人の人を
守れなくて

出逢ったことに
意味など求めない

愛したことに
価値など在る筈ない

だって
失ってしまったから

もう
無くしてしまったから

空っぽで
どうやって生きるの

真っ白で
どうして生きられるの

愛した事実は消えない
愛された確証は離さない

それでも
あなたはいない

もう
どこにもいない

握り締めるのは
涙だけ

あなたの最後の
贈り物

ほらもう
溶けて消えた

まるで
あなたみたいに

傾慕 [09月]

唇から
零れ落ちるのは

優しい嘘

誰を守りたいのか
何を庇いたいのか

どうして今さら
そんな嘘が必要なのか

わからないけれど

あなたの咋な嘘を
瞳を閉じるように

そのまま受け入れる

傷つくのは
いつもあなたで

それでもいいと
優しく微笑む

あなたの
その笑顔を

何度も見てきた

守りたい人は
私よりも強い人で

私自身よりも

先を見て
前を向いて歩いている

あなたの背中は

こんなにも遠いのに
こんなにも愛おしくて

追いつきそうもないのに
守りたいと思うのは

傲慢だろうか
不遜だろうか

過ちだと
間違いだと
驕傲だと

想っていても
気付いていても

それを糺すつもりも
止めるつもりもない

もどかしい想いは
喉に引っ掛かったまま

取れそうにもなくて
痛みだけが広がって

言葉にならない

息苦しさだけが
纏わり付いて

このまま呼吸が
止まってしまえばいいとさえ

願わずにはいられない

守っているつもりの
あなたも

守りたいと思っている
私も

こんなに苦しくて
こんなに辛くて

これを
優しさと呼ぶのだろうか

これを
思い遣りと呼ぶのだろうか

一番大切な人が
傷ついていて

それを幸せと
言わなければ
いけないのだろうか

一番愛している人が
悲しんでいて

これを愛だと
言わなければ
いけないのだろうか

いつから
間違えているのか

どうして
すれ違ってしまったのか

今となっては
分からないけれど

今さら分かったところで
何を変えようもないけれど

あなたの優しさを
壊してしまったりはしないから

あなたの嘘を
破いてしまったりはしないから

私の声を聴いて
私の心に触れて
私の手を掴んで

あなたと共にいたいだけ

あなたを離したくないだけ

あなたを愛しているだけ

何よりも
あなたが大切なだけ

素志 [09月]

この馨だけで
あなたを思い出すなんて

私もだいぶ
どうかしてるみたいで

その瞬間だけで
涙が零れるなんて

私はずっと
おかしいみたいで

そうしたのはあなたなのに
感じるのはあなただけなのに

振り返っても
あなたはいないの

振り向いても
何処にもいないの

こんなに胸を掻き毟って
簡単に消えてしまわないで

こんな痛みを残したまま
何度も思い出させないで

忘れられることなんて
何もないじゃない

なかったことになんて
ずっとならないよ

引っかかったまま
傷は癒えないから

押し潰れたまま
元には戻らないから

何時だって
何処だって

あなたしかいないのに
あなただけを探すのに

見つからないよ
見つけられないよ

あなたの居る其の場所に
連れて往って

あなたの触れる此の心を
持って行って

見えないよ
聞こえないよ

それでも私には
あなたしか居ないんだよ

怯懦 [09月]

あいつはどんな声で
あなたに囁くの

あいつはどんな瞳で
あなたを見詰めるの

あいつはどんな言葉で
あなたを彩るの

どうして
あなたをそんなに
幸せそうな顔にできるの

どうして
僕にはそれが
できないのかわからない

自分の何が間違えていて

自分に何が足りないのか

いくら考えても
答えが見つからない

欲しいのは

人から羨ましがられるような
ものではなくて

願うのは

誰かから誉められるような
ことではなくて

あなただけなのに
他に何もいらないのに

あなたが遠くて
ずっと届かなくて

たったひとつ

望んだものさえ
手に入らない

たったひとり

願った人さえ
触れられない

僕の行く先に

あなたがいないことだけは
確かで

あなたの未来に
僕の存在などないのだと

それがこんなにも
僕自身を苦しめる

愛したあなたの

姿が
声が
温もりが

今も忘れられない

たった一度だけ
交わした記憶は

今でもこんなに
美しくて

思い出が涙と共に

少しずつゆっくりと
滴り落ちる

これ以上

零れ落ちないように
流れ落ちないように

拭っても
堪えようとしても
何をしても

止めることができない

どうすればいい

どうしたらいい

あなたを傷つけたら
この想いが
救われる日が来るだろうか

僕が傷つけば
この想いに
終りを告げる日が来るだろうか

あいつに向けられる
あなたの微笑みが

僕を苦しめるための
道具でしかない

壊れゆく様が

勇気を持たない
僕をよく表していて

破滅へ向かう途を
進めというのなら

きっと
逃げ出すことはない

あなたを失うような
他の途を
選択することはできないから

それでも
あなたの幸せを
奪うことはできなくて

交わり様のない想いは
僕を苦しめ続ける

結付 [09月]

ゆっくりと流れる

あなたまでの距離を
揺蕩うように

愛情なんて
見えないのに

それでもまだ
信じるの

ずっと途切れない

あなたへの途で
蹌踉めきながら

確信なんて
持てないのに

それでもきっと
消えないの

愛したことを
忘れてしまえるのなら

きっと辛くはない

出逢ったことを
嘘にできるのなら

きっと幸せだと

あなたが全てで
あなただけだと

同じ場所へ
辿り着くなら

そこは
あなたの温もり

同じ時間を
繰り返すなら

それは
あなたの愛の内

涙が枯れても
明日が終わっても

もう消えることはない
二度と忘れることもない