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零墨 [08月]

誰でもない毎日

何でもない日々

消えてしまったのは
希望

失ってしまったのは
情熱

私以外の
何になれるだろう

あなた以外の
誰になれただろう

触れようと
足掻き悲しみ

何度だって
のたうち回った

掴もうと
踠き苦しみ

どこだって
転げ回った

傷だらけになっても

笑っていたのは
あなたがいたから

痛みが深くても

生きようとしたのは
あなたといたから

離さないで

あなたを失って

もう一人では
生きられそうにない

離れないで

私を失って

もうあなたしか
私を知らない

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愛慕 [08月]

大切な人に

行かないでとは
言えなかった

大好きな人に

愛しているとさえ
伝えられなかった

こんな感情は
綺麗な思い出なのか

こんな愛情は
苦しい傷跡なのか

何も叶わなくても

今でも
こんなに覚えている

何も実らなくても

今でも
ずっと忘れていない

離れたくなかった

今なら
こんなにはっきり言える

傍にいたかった

今でも
こんなに強く思う

自分の手で
変えられるものが

どれほどあるだろう

自分の力で
成し得るものが

どれだけあっただろう

気持ちが
立ち止まったままでも

時間は真っ向から流れた

心が
揺れ動くままでも

人生は真っ直ぐに進んだ

あなたといたから
笑うことができた

あなたがいたから
生きることができた

あなたを
忘れた日なんて

一日もない

あなたが
いなかったことなんて

一度もない

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座標 [08月]

選べるはずだった
起きなかった方の

過去に
生きているのは


じゃない私

手にできるはずだった
生まれなかった方の

未来を
歩んでいるのは


だったはずの私

時空は
心のように歪む

それが当たり前の
人生だから

目の前が
人のように壊れる

それが正しい
答えだから

一人で
生きられない私は

助けてもらえば
何になっただろう

誰とも
生きられない私は

救いがあれば
あなたに会えたかな

真っ新な波が
飲み込んでも

いびつな苦痛は
永遠じゃない

真っ斯な空に
放り出されても

手にした温もりは
離さない

守れるだけの力が
ないとしても

守るべきものに
魂をかける

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御影 [08月]

押しても
引いても

心は動かない

投げても
踏んでも

今は壊れない

どうやって
お別れしよう

あなたには夢のように
消えてしまって

どうしたら
お別れできる

あなたは泡のように
見えなくなって

今の私に
何が残っているだろう

こんな私に
何があるのだろう

音もなく
訪れるのは

零れ落ちる
涙だけ

呆れるほど
苦しめるのは

消えてしまった
あなただけ

嫌いになりたいのに
それすら赦されない

忘れたいのに
忘れられるはずがない

ずっと一緒に
いたかった

今も皆で笑って
いたかった

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繋縛 [08月]

解けていけば

まるでなかったかのように
元に戻るのに

全てをなかったことには
できなくて

また縺れ始める

絡まり合えば

まるで求めていたかのように
重なり合うのに

全てが溶け合うことは
できなくて

また解け始める

引いては寄せる波のように
律動を刻む鼓動のように

私が触れている間は
私が見詰めている間は

それが終わることはない
その時を止めることがない

幾度となく
巡り合いを重ね

形を変えても
魂を宿す

独り彷徨い歩くため
彼方と共に生きるため

今何処にいるの
今何をしてるの

答えは返って来ないのに
答えは見つからないのに

同じ問いを繰り返しては
探し求める

同じ時間を紡いでは
求め続ける

触れていて

二度と放れないように

愛していて

二度と迷わないように

そうすればまた
解け始めるから

ふたたびほら
絡まり合うから

巡り合うために

何度同じ事を
繰り返したとしても

重なり合うために

何度同じ夢を
描いたとしても

交わり合うために

何度同じ時を
重ねたとしても

答えは見つからない

旅は終わらない

いつまでも
変わらない想いが

自分を苦しめていると
痛いほど理解していたとしても

気持ちは自由にならなくて
心に嘘はつけないから

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牆壁 [08月]

愛するほどに
壊しそうになる

重なるたびに
傷つけそうになる

伸ばした手を
振り払うのなら

愛情なんて
ばら撒かないで

飽きるほどに
抱きたくなる

見詰めるたびに
壊したくなる

重ねた唇が
嘘を連ねるなら

微笑みなんて
安売りしないで

同じ想いが
募るほどに

叶わぬ願いが
溶けるほどに

同じ時間の
別の場所で

彼方を想う
独り想う

いくら哭いても
音さえ聞こえない

どれだけ踠いても
光さえ触れない

どれほど足掻いても
幻さえ摑めない

函蓋 [08月]

空白の心を埋めるのは

あなたの笑顔
あなたの言葉

不毛な身体を満たすのは

あなたの視線
あなたの吐息

感じているのは
あなただけなのに

触れているのは
あなたしかいないのに

欲しがるあなたは
いつまでも手に入らなくて

悪戯なあなたは
いつまでも憎たらしくて

裏腹に溺れていく時間が
反して堕ちていく自身が

いつも甘く輝いて
あなたに馨しく痺れる

どうやっても
止められないほどの
刺激を身に纏って

いくら足掻いても
終えられないほどの
快感に苛まれ

波打つ心も
律動を刻む身体も

あなたに触れているはずなのに
あなたに愛されているはずなのに

ずっと独りで
何処にも居なくて

これ以上はダメだと
これ以上は無理だと

何度諍っても
幾度逆らっても

あなたには
赦されなくて

わたしには
溺れるしかなくて

喘ぐほどに
正体をなくして

溺れるほどに
感覚が研ぎ澄まされて

堕ちるほどに
何も見えなくなる

為様 [08月]

溢れるほどの
幸せに満ち足りて

誰もが羨むほどに
輝いているとしても

楽しくもない
嬉しくもない

じゃあ
幸せって何

誰かにとっての幸せを
持っていたとしても

それが幸せだとは
呼べないことを知った

自分で手に入れたはずの幸せを
幸せだと感じられないなら

今ここに触れている
幸せって何

きっと何かが間違えている
きっとどこかが足りない

きっと自分がいけない

いくら考えても
答えなんて見つからなくて

ただ感じるしかない愛を

考えようとしても
手に入れようとしても

無駄な足掻き

触れるほどに
心擽られるのに

見詰めるほどに
心乱れるのに

叫ぶほどに
心煽られるのに

こんなにも溢れるほどの幸せを

どうして
幸せと感じられないのだろう

どうして
幸せになれないのだろう

苦しむことに
慣れてしまって

泣き疲れる度に
心が乾いてしまって

きっと何が幸せかなんて
分からなくなってしまって

欲深い自分が
満足しなくなっただけ

こんなにも大切なものを
簡単に捨てられるようになっただけ

手にあるものには

目もくれずに
新たな何かを探し求める

もっとと欲しがれば

誰かが何かを
与えてくれるから

欲しいものではない

今までにない
新たな刺激

決して
自分の望むものではないけれど

きっと
自分を満たすものではないけれど

虚しさや
寂しさは

簡単に暗闇に
引き摺りこむ

それを知っていて
それに抗うためには

幸せなふりを続けなければ

二度と出て来れなくなる
二度と這い上がれなくなる

何が本当に大切で
何が本当に幸せなのかは

考えなくても
こんなにもはっきりとしているのに

幸せを図る物差しは
とっくの昔に壊した

感じるほどに
心縛られるから

怖くて
怖くて

一番大切な
あなたさえ手放した

余人 [08月]

あなたの指が
私に触れれば

あなたの視線が
心を突き抜ければ

容易に開き
抵抗なく受け入れる

容易く乱れ
諍いもせず堕ちていく

ここから
壊れ始める印

これから
溺れ始める合図

もう
溶け合うほどに

もう
容もなくなったら

あなたは私に
何をくれるの

私はあなたに
何をすればいい

流されるばかりで
衝き動かされるばかりで

助けてはくれない
愛してはくれない

繋がっている
あなたでさえ

触れている
あなたでさえ

愛している
あなたでさえ

私が助けを
求めてはいけない人

私が心から
縋ってはいけない人

凄惨 [08月]

辛い理由も
苦しい理由も
悲しい理由も

数多にも幾多にも
数えきれないほどに

永遠に尽きることなく
在り続ける

激しい痛みを伴い
日常的に蝕んでは

永遠に消えない傷を
創り続ける

腐蝕した傷口から
異臭がし始め

幾重もの人を
巻き込みながら

伝染していく
感染していく

誰独りとして
逃さないように

恐怖と嫌悪を
植え付けながら

痛みが
消えないように

苦しみを
忘れないように

永久に残る痣を
拵え続ける

心にも蝟集して
身体にも凝聚して

全てを穢しながら
また崩れ始める

恐怖に慄く日常が
単純な喜びに縋り

幸せという実感を
手にすることで

堕ちて往く快感を
忘れられなくする

痛みも喜びも
自分の意志では
到底敵わず

それでも
自分で新たに
創り出す

この辛さは
あなたに出逢うため

この苦しみは
この瞬間を味わうため

この悲しみは
今を手にするため

痛みで縛り付けて
他愛なく壊すけれど

壊れて行くのは
自分という虚貝

既に何もなく
もう何も感じない

それでもまだ
あなたを癒すことが
できるだろうか

それでもまだ
あなたを慰めることが
できるだろうか

空虚しかない私に
恐怖さえ感じない私に

何ができると
いうのだろうか

辛いのは
苦しいのは
悲しいのは

誰のせい
何のせい
あなたのせい

明白な
自身のせい

心はいつまでも
傷が癒えず

痛みだけが
途切れることなく

今までも
これからも

続いているだけ
終わらないだけ