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手底 [02月]

この夢は
ずっと覚めないかな

あなたに抱かれたまま

もう目覚めなくていいと
髪を撫でる

いつもあった
その手を覚えている

この愛に
終わりは来ないかな

あなたに愛されたまま

もうお終いだと
微笑みかける

一度触れた
この温もりを離したくない

あの日々が
戻らないのなら

私は今
何をしているの

あの夢が
果てたというのなら

私は今
どこにいるの

全てが幻でも
構わないから

夢の続きを見させて

何もかもが嘘でも
信じるから

愛の続きを奪わないで

愛したことも
愛されたことも

まだ刻まれていて
こんなに残っていて

日が昇ろうとも
陽が沈もうとも

何も変わっていない

言い聞かせて
今日を生きるの

何も終わってない

誡めるように
また目を閉じる

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調色 [02月]

ちゃんと愛してるって
伝えて

変わらず愛してるって
教えて

泣きたくなるほどの

この空の色を
忘れたりしない

見上げた頬を伝う

この涙の温度を
忘れられない

もうお別れだって
分かっていても

それを認めたくはなくて

もう最後だって
知っていても

それを認めるつもりはない

今のこの気持ちを

描くような
画材は持っていない

あなたの愛情に

叶うような
人間じゃない

汚れた手でも
触れることはできるのに

それを許さないのは
私の心

醜い顔でも
笑うことはできるのに

泣きたくなるのは
あなたのせい

望んではいけないと

諦めるしかなかった
過去を返して

愛されるはずがないと

怯えるだけの
未来は捨てる

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化身 [02月]

玩具みたいな指輪でも

あなたとの繋がりが
まだ消えないから

指にはめたまま
時が止まる

がらくたみたいな愛情でさえ

あなたの瞳が
忘れられないから

壁にもたれたまま
呼吸が止まる

未来なんて
あるはずもないから

過去になんて
戻れるはずもないから

いっそこのまま
死ねたらいいのにと

ずっとこのまま
覚めなければいいのにと

願ってやまない日々に
怯えてみたり

祈り続ける日々に
泣き疲れてみたり

過ちの渦の中から
這い上がれるはずもなく

偽りの香りをまとい
溺れ堕ちていくだけ

あなた以外の
誰を愛せばよかった

あなた以上の
誰がいたというの

忘れたはずなのに
どうしてこんなに悲しいの

忘れようとしても
まだこんなに苦しいの

今が過去なら
ずっと過去のまま

今も未来なら
きっと未来のまま

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耿然 [02月]

遅くないと思っている

できると信じている

最低な今を
いくつ積み重ねたら

輝く未来に
辿り着くのだろう

最悪な日々を
いくつ過ごすのなら

笑い合える毎日が
やってくるのだろう

今にも泣きそうな

そんな表情で
誰と会うの

今にも壊れそうな

そんな思いで
今を生きるの

何かを強く望んだだろか

大切なものを求めただろうか

変えられるとしたら
何だろう

変われるとしたら
いつだろう

あなたと共に生きたい

あなたと共にいたい

そのために
やれるだけのことを

今できる
全てのことと


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阻隔 [02月]

時間が此処で
笑っている

お前に用などないと
言われているみたいに

揺れ動いているのは
そちら側に招いているから

止まってしまえばいいのに
回転はやまない

重い瞬きさえ
止めてしまえない

未だ呼吸さえ
止められずにいる

涙が立ち昇るのなら
全てを変えられそうな気がして

塊から抜け落ちるなら
何もかも捨てられそうに思って

それでも永遠なんて
簡単に消えてしまうから

待っていてほしいと
誰に縋ればいい

それでも夢なんて
脆く崩れ去るから

助けてほしいと
何に凭れればいい

独りで転がり落ちることが
もう笑えないのなら

今でも尚変わらずに
幻を探している

我執 [02月]

自分という
輪郭をなぞって

内側にも
外側にも

はみ出さないように
飛び出さないように

気を付けながら
ふらつきながら

もたつく足で
もつれる足で

よたよたと
もたもたと

どうにか倒れないように
歩いている

ようやく堕ちないように
見詰めている

これが自分だと
いえるものなど

何も持たずに

これが意味だと
表すものだと

何も知らずに

まだ進んで
また転んで

何が自分なのかさえ知らず
何処で逢えるのかも分らず

もういいと
誰かに言って欲しくて

もう大丈夫だと
誰かに触れてもらいたくて

崩れ落ちそうな身体も
震える心も

辛うじて保っていると
言えるだろうか

どうにか繋いでいると
見えるだろうか

微かな息さえ
もう途絶えようとしていて

僅かな望みさえ
もう手放そうとしていて

これでも
私と思えるだろうか

これが
自分だと言えるだろうか

現世 [02月]



あなたの頬に
触った気がした

伸ばした指が

いつも

温かくて
柔らかな

あなたの頬に

これは夢なの
これは幻かな

それとも
これが現実

そう思ってる

あなたがここにいると
信じたい

あなたのことなら
全て覚えている

どんな顔で笑っていたか
どんな時に泣いていたか

いつでも優しかったこと
いつも守っていてくれたこと

嘘でもいいから
幻でもいいから

もう一度逢いたい

お願いだから

ここに来て
逢いに来て

早く来て

愛してるって言ったでしょう
放れないって言ったでしょう

重ねた思い出が
今でもこんなに輝く

消えない記憶が
今でもこんなに締め付ける

どうして
どこにもいない

どうして
もう逢えない

私を置いて
どこに

分かってるって
何度も言い聞かせた

それでも
何も変わらない

いつまでも
忘れない

ずっと
愛している

あなたもまだ
私のことを愛しているよね


あなたは泣いているよね

強く願えば
ほら



あなたの涙に
触れた

この瞬間も

あなたが
抱き締めてくれている

私も同じだよ

あなたをずっと
抱き締めているからね


(対;黄泉-2015/2/27)

黄泉 [02月]

あなたに逢いたくて
あなたに逢いに来たけれど

あなたには
私が見えない
私がわからない

傍にいるのに
ここにいるのに
触れているのに

喚いたところで
届かないと

足掻いたところで
変えられないと

気付いているから
分かっているから
諦めているから

こうしてあなたを
見詰めることしかできない

話したいのに
抱きしめたいのに
愛したいのに

あなたはまるで
私を忘れてしまっているかのようで

あなたはまるで
もうなかったことのようで

それでも
どこかに期待してしまう

まだ私を覚えていると
まだ私を愛していると

変わらない時間を

これからも共に
分かち合いたかったけれど

もうそれができなくて

いくら触れても
この手は届かず
空を切るばかりで

いくら泣いても
この声は届かず
空を舞うばかりで

それでもこの想いは
止められなくて

私はまだ覚えているから
私はまだ愛しているから

あなたを
忘れるなんてできなくて

あなたと
放れるなんてできなくて

どうしてもう
一緒にいられない

どうしてもう
触れられない

だけどもう
あなたの心を返さないと

いつまでも
こうしていてはいけないから

あなたが
笑っていてくれたら

それでいい
それがいい

あなたが私のことを
忘れるまで

私があなたのことを
忘れられるまで

ときどきこうして
あなたに逢いに来てもいいかな

いつか
記憶が
心が
癒える日まで

いつか
忘れたと
薄れたと
言える日まで

ずっと
あなたを覚えていたらだめかな

ずっと
あなたを愛していたらだめかな

見えなくても
触れていなくても
感じなくても

私はここにいる

あなたをずっと
抱き締めているから

もう少しだけ
こうさせていて

(対;現世-2015/2/28)

陰伏 [02月]

大切な人が
傷ついていても

癒す力さえない

固く閉ざされた
その心を

開く力もない

吐き出したいほどの
黒い衝動は

行き場をなくして
自分に留まり続ける

渦を成し続ける
混沌とした感情は

留まることを知らず
自分を呑み込んでいく

守ることさえできないのなら
助けることさえできないのなら

あなたの隣に居る意味がない
あなたを笑顔にできるわけがない

いつになったら
あなたを幸せにできる

どうやったら
あなたと幸せになれる

悲しい顔はさせないと
誓った筈なのに

辛い思いはさせないと
決めた筈なのに

大切な人は
あなただけなのに

愛おしい人は
あなたしかいないのに

あなたは見もせずに
俯いて泣くばかりで

あなたは立ち上がりもせずに
膝を抱えて震えるばかりで

どれほど傍にいても
守ってやれない

どれほど愛しても
幸せにしてやれない

笑顔にしてやれないのなら
幸せをあげられないのなら

あなたを
苦しめてしまうならば

あなたを
悲しませるだけならば

きっと出逢わなければよかった
ずっと巡り逢わなければよかった

(対;陽表-2015/2/22)

陽表 [02月]

酷い現実を
自分で呑み込もうとして

自分以外の誰かを
傷つけていることに

気付けなかった
分からなかった

犯した過ちの大きさに
自分の不甲斐なさに

壊れていく音を
止めることもできず

一度崩れると
もう止められなかった

何度繰り返したところで
悪夢は終わりを知らない

自分の手で
止められることもなく

流されるままに
全てを失っていく

自分さえ我慢すればいい
黙っていればいい

それは何の解決にもならなくて
それは罪を大きくするばかりで

自分が壊れていくことよりも
大切な人を裏切ったことの方が

胸を抉るような痛みに苛まれ
痛みから目が離せなくなる

大切なものが分からなくなる
あなたを失ってしまう

そう気付いたのは
だいぶ後になってからで

もう取り返しが
つく筈もなくて

あなたの傍に居る
資格がない

あなたに愛される
わけにはいかない

幾ら悔やんでも
戻らない

幾ら謝っても
戻れない

ずっと踠き苦しむから
触れないで

ずっと償い続けるから
赦さないで

(対;陰伏-2015/2/23)