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含羞 [07月]

ただ
時間を重ねること

ただ
愛を紡ぐこと

誰もが生きた証

それが
一番の幸せだと

あなたは最後まで
きっと知らないまま

ずっと
一緒にいること

ずっと
忘れないこと

全てが生きた印

それが
何より大切だと

あなたは最期まで
きっと知らなくていい

急に現実に戻って
私がいないことに気付いても

悲しまないで

不意に真実を知って
私じゃないことに怖くなっても

苦しまないで

何が起こっても
何も変わらない

何が起こらなくても
愛は変わらない

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多生 [07月]

まだあなたがいるって
想っているの

ずっとあなたのことを
忘れられないの

分かろうとした

受け入れようとした

それでも心は
誤魔化せなかった

どうしても自分に
嘘をつけなかった

まだここにいるでしょう
また会えるでしょう

私は独りじゃないでしょう
あなたと一緒にいるでしょう

今度はいつ会おうか
その日は予定があるから

今度はどこ行こうか
そこは行ったでしょう

どうして
私は泣いているんだろう

どうして
涙が止まらないのだろう

どんなに近づいても
触れられない

遠くに離れたあなたに

どうしたら
この愛を届けられるだろう

どんなに愛しても
抱き締められない

遥か彼方のあなたに

どうすれば
この声で伝えられるだろう

逢えなくても
消せなくて

見詰められなくても
消えなくて

心はあなたのところに
置いたまま

想いはあなたのとなりに
宿ったまま

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惣別 [07月]

見紛うほどの愛に
触れて

見違うくらいの愛を
授かった

愛されていた
ただ深く

愛していた
訳もなく

握り締めたら

自分のものだと
信じた

抱き締めたら

もう離れないと
思った

この手に抱いて
また見失う

その声に抱かれ
また恋する

まだこんなに
愛されている

今だってずっと
愛している

あなたとなら
幻さえ消えたりしない

あなたとだから
夢さえ真実になる

愛されたことは

きちんと
心に残っているから

愛したことは

ずっと
心が覚えているから

この愛は消えない

永遠に消したりしない

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沛雨 [07月]

無慈悲にも突然で

余りにも一瞬で

当たり前が
簡単に壊れた

日常が
不意に途絶えた

思うほど惨く
突として失う

動いているのかさえ
分からないほど

呆然としたまま

止まっているのかさえ
気付かないくらい

途方に暮れ

これからを
思うことさえ怖く

今からと
動くことさえ怯む

望むほどに
待ち侘びて

叶わぬことと
肩を落とす

どれほどの痛みを抱え
どれだけの悲しみに抉られ

触れるほどに
離れていくようで

揺れるほどに
消えてしまうようで

願うことさえ
躊躇うほど

祈ることさえ
欺きそうで

今はまだ
あなたのことだけ

これからも
忘れないから

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振子 [07月]

揺れ動いて
止まることがない

振れながら
揺れながら

近くへも
遠くへも

あなたの傍を
離れずにいる

いつまでも
このまま

変わることは
ないだろうか

このまま
ずっと

いっそのこと
どうせなら

振り切れて
千切れてしまえば

切り付けて
止まってしまえば

落ちて
動かなくなるのに

朽ちて
消えてしまうのに

私が私でなくなれば

痛みなんて

すぐに
忘れられるでしょう

悲しみなんて

すぐに
癒えるでしょう

このまま
堪え忍ぶくらいなら

この先も
生き延びるくらいなら

どれほど辛くても
幾程打ち拉がれても

壊してしまった方が
失ってしまった方が

私にとっては
幸せだから

あなたを
守りたいから

ずっと求めて
ずっと探して

ずっとこうしているのなら
ずっと立ち止まったままなら

きっと忘れられる日なんて
きっと来ないから

それなら
自分で断ち切ってしまった方がいい

待ってても
何も変わらないのなら

愛しても
何も変えられないのなら

もう意味などない

結局は何も変わらないから

それ以上のことを

望むことは
馬鹿馬鹿しいと思っている

これ以上のことを

求めることは
時間の無駄だと分かっている

あなたに
届かないのなら意味がない

あなたが
いないのなら必要がない

あなたじゃないのなら
今ここにいることすら

何のためなのか
誰のためなのか

分かるはずがない
分かろうと思わない

あなたがいないのに

変わらずに
いつもここにいる

止める術を
知らないから

終える手段が
見つからないから

結実 [07月]

まるで熟れた果実のように
零れ落ちそうなら

掬い上げるから
僕の指を絡めて

愛してると撫でる頬のように
愛おしいのなら

奪い取るから
僕の唇を塞いで

君が生きている証は
何もないから

僕を信じるしか
他はないでしょう

君が愛されている痕は
消えてしまうから

僕に縋るしか
何もないでしょう

温もりなんて
欲しくないから

壊してでも
抱き締める

優しさなんて
必要ないから

力づくでも
愛し続ける

もうやめてと
泣き付くまで

僕は君を
離さないから

もう嫌だと
泣き叫ぶまで

君は僕を
煽るだけだから

だからもう
諦めてよ

お願いだからもう
放れないでよ

ここを離れて
何処に往くの

もう何処にも
生き場はないのに

心地 [07月]

きっと
代わりなどいないのだと思う

だけど
消えてなくなるのだとも思う

思いや意志や事実でも
宿った証があるのなら

消えてしまったとは
言えないのだろうか

誰かは
誰かにとっての大切な人で

あなただって私だって
同じ筈

ずっと傍にいると思ってた
きっと変わらないと思ってた

それなのに
簡単に居なくなる

呆れるほど
容易く消えてなくなる

分かってた
知ってたけど

あなたしかいないのに
あなただけなのに

それでもあなたは
消えてしまうのでしょう

そしてあなたは
見えなくなるのでしょう

残された私の心には
消せない思い出には

あなたはそのまま
ずっとそのまま

泣けるものなら
泣いてしまいたい

忘れられたとしても
忘れたくない

いつまでも
交わらないとしても

出逢ったことだけは
消せないから

だからありがとう
そして愛しています

纏縛 [07月]

あなたが欲しいだけ

他には
何もいらないから

あなたを頂戴

あなたの望みは
私が叶えてあげる

だから
あなたの全てを頂戴

息もできぬほど
声も出せぬほど
身動きもとれぬほど

私の愛で
溺れさせてあげる

もう
私しか見えない

もう
私しか感じない

もう
生きているのかさえ
わからなくなるほどに

あなたを
縛り上げてあげる

もっと
私を欲しがって

いくらでもあげるから

もっとあげるから

あなたの望むものなら
何でも叶えてあげるから

だから
あなたの全てを頂戴

甘い罠は
あなたの

魂を奪い
心を奪い
自由を奪い

全てを奪っても

長しなえに終わりの来ない
快楽が手に入る

私に触れれば

見たことのない
景色が広がる

味わったことのない
耽美な貪食を満たす

聞いたことのない
淫靡な喧囂に
酔い痴れる

嗅いだことのない
魅惑的な薫香に
惑わされる

感じたことのない
甘美な世界が
ここにある

あなたが欲しいのは私

他のものなんて
何も見えなくても
私だけを感じていればいい

あなたを
生かしてはおかない

甘い接吻は
儚い夢の始まり

恍惚の先に
全てを失った
抜け殻が横たわる

私の腕の中で
ずっとこのまま
眠り続ければいい

ずっと
愛しているから

何も気づかず
何も感じず

私にだけ
愛されていればいい

私のものにさえなれば

愛なんて
知らなくてもいい

寂滅 [07月]

今抱えている
死ぬ程辛い想いは

何れ消えてなくなるだろう

きっと忘れてしまうから
全てなかったかのように

今感じている
拭い去れない痛みは

何れなくなってしまうだろう

きっと思い出せないから
何もなかったかのように

どれほどの想いが
今を変えるのだろう

どれほどの願いが
未来に繋がるのだろう

どれほど苦しめば
先に進めるだろう

どれほど苛めば
生き永らえるのだろう

痛みしか見つけられなくても
虚像しか触れられなくても

他に感じる術などなく
代わりの想いは耀かない

全てが分からなくなればいい
全てが見えなくなればいい

極彩色が混ざり合って
漆黒になればいい

狂おしい陰に隠れるように
暗闇に閉じ込めてしまえばいい

目を閉じれば
此の音は消える

耳を塞げば
此の幻は消える

私の声は聞こえない
私の願いは届かない

もう何も感じないから
このまま棄てて

全てを止めて
私を消して

愛撫 [07月]

逢えない時間は
訳無く業を掻き立てる

その肌もその声も
あなたの全てを
自分のものにしてしまいたくて

ずっとこれがほしかったから

陽が昇っても
身体中に残る余韻が

抱かれた身体だけじゃなく
触れられない心まで
容易く縛り上げて

ずっとこうしてほしかったから

ここにあなたを残したまま
独り占めしているみたいに

あなたに愛された
余韻に酔う

握りしめる度に響く
衣擦れの音は

独りであることを
こんなにも強く刻みこむのに

心も身体も
自由にはならなくて

記憶の
視線が唇が指が

甘くて
愛おしくて
堪らなくて

愛し合うほどに

何も見えなくなる
意識が遠退いて行く

あなたに縋る腕が
あなたを求め啼く声が
あなたが残した痕が

こんなにも鮮明で
こんなにも放れず
こんなにも虜にさせる

あなたさえいれば

もう何もいらないと
もう何でもすると

誓ってしまいそうなほど

全てが溶け合うほどに
全てを重ね合って

初めてあなたの気持ちを知った
あなたに愛されていると知った

あなたのいない時間は

どうにかなりそうで
どうかなってしまいそうで

再びあなたを求めて
蠢き始める

そして救いを求めて
彷徨い始める