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夢現 [07月]

頬を撫でるのは
心を揺さ振るのは

あなたの存在
あなたの愛

心惹かれてしまう
捉えて放さない

当たり前でしょう
当然でしょう

始めから知っていた
終りですら変わらない

泣きたくなるくらい
幸せなのに

失いたくないくらい
切なくて

あなたの

そんなところに
惹かれただけ

愛していると

言葉の意味を
知っただけ

特別なのは

見詰め合うだけの
狂おしい時間

続いていくのは

掛け替えのない
語り合う言葉

他の全てが
止まって見えた

何もかもが
真っ白に消えた

二人しか居ない
あなたしか見えない

ざわめきが消え
耀きが満ちる

夜が明ける度に
あなたが遠退いてしまうのは

手放したくないと
強く願うから

目蓋を開く度に
涙が零れてしまうのは

声にならない悲鳴に
押し潰されそうになるから

触れられるのなら

肌よりも
心がいい

愛されるのなら

躰よりも
魂がいい

悟性 [07月]

此処で
止められる自信はない

理性で
抑える意味が分からない

愛しい人を
腕に抱きながら

他の誰を想うの

麗しい人を
愛しながら

他に何を欲しがるの

何かを壊してでも
あなたを繋ぎ止めたかった

誰かを失ってでも
あなただけは離せなかった

あなたの心が
此処になくても

あなたの想いが
他に在っても

あなたの身体が
僕が触れる度に

揺れ動いたらいいのに

あなたの心が
僕の愛で

満ち溢れたらいいのに

あなたの愛が
僕の泪の様に

零れ落ちたらいいのに

あなたの全てを
僕の全てで

埋め尽くせたらいいのに

流されるがままに
溺れるがままに

あなたには
僕しか

見えなくなればいいのに

あなたは
僕だけを

感じていればいいのに

震戦 [07月]

心を揺さ振られ
心が震えている

どうして
忘れられないのだろう

どうしたら
放れられるのだろう

棄てたい記憶に
縛られて

触れたい未来が
崩れていく

あなたがいなくて
どうやって生きればいい

あなたを失って
どうやって笑えばいい

何度もあなたに恋をする
きっとまたあなたに恋をする

離れないと言ったのに
ずっとそばに居ると誓ったのに

私だって
涙くらい流せるのに

幾らだって
泣き喚くこともできるのに

嘘ばかりを繰り返して
言い訳ばかりが上手くなった

いらないなんて
思うはずがない

大丈夫なんて
言えるはずがない

一度触れた愛情を失って
忘れられるわけがない

一番大切な人が消えてしまって
笑えるわけがない

寂しいって言えばいいの
辛いって泣けばいいの

どうやったら
元に戻せる

どうしたら
あなたに逢える

抗拒 [07月]

生まれてきたことも
死に往くことも

自分で望んだわけじゃない
自分で選んだわけじゃない

気付いたら
そこにいただけ

初めから
そうなっていただけ

今だって
今までだって

自由に選択できないなんて
何も選べないなんて

誰かに
操られているみたいで

何かに
弄ばれているみたいで

堪らなく嫌悪感に苛まれる
まるで息の根を止められる

これが自分だと
言えるものなんて
何一つ無いのに

始めから全てを
奪われているのに

これで生きろと
言われるから
仕方なしに生きて

望みは何
望むものは何

欲しいものは何

負けたくない何かが
見返したい何かが

心を支配していて

ここから這い上がれと
捲し立てる

汗が渇くこともない
涙が枯れることもない

これ以上誰の
指図も受けない

今以上何も
支配されない

臨むべき未来は
目の前にある

取るべき手段は
手の中にある

だとしたらもう
何も迷わない

手に入れるまで
叶えるまで

果てるまで

最期まで

ここから生きることさえ
いずれ凋落することさえ

自分が望み
挑んだ結果だと

言ってしまえばいい
証明すればいい

顛落した闇の中からでさえ
這い上がる

誰かに仕組まれた途なんて
簡単に捨ててしまえばいい

何かの企みの中でなんて
生きるつもりはない

無駄な悪足掻きを
いつまでも続けることが

馬鹿だというのなら
子供だというのなら

それが私という
自分なのだろう

それでも構わない

手に入れたいのは
自分で生きた証

傷ついても
全てを失っても

立ち止まっても
繰り返しても

戦うことを
止めたりはしない

生きることを
諦めたりはしない

眩暈 [07月]

愛することが当たり前で
悲しむことが当然で

苦しくても
辛くても

吐き気すらする現実で
こうして笑っている

こうしろと
こうやって生きろと

あなたが言ったでしょ
私が望んだでしょ

手に余るだけの
くだらない日常は

呆れるばかりに
崩れ落ちていくだけで

心を乱しても
何も変えられずにいる

何時しか
逃れられなくなった

けたたましいほどの
壊してしまいたくなる衝動を

抑えることに必死で

もとの想いを

もう
忘れてしまいそうだ

どうしてまだ
こうしているのか

いつまで
こうしているのか

もう
分からない

もう
忘れてしまった

気付くといつも
空っぽで

望んていたはずなのに
苦痛だとさえ感じる

もう
見るのも嫌で

もう
何も感じたくない

何時からか
何処からか

溺れることに
喜びすら感じて

この息苦しさを
自分から求め始めた

狂うばかりで
乱れるばかりで

傷つけたら
全てを忘れられる

壊れたら
今を捨てられる

朽ちてしまえば
全てなくせる

焦らされて
はぐらかされて

どこまでいっても

あなたは
私に幸せをくれない

ずっと
私に永遠をくれない

そんなあなたを
まだ愛しているというの

溺れて
このまま

沈んでしまいそう

経巡 [07月]

感じた痛みを
誰かに与えたら

和らぐとでも
いうのだろうか

悲しみの訳を
誰かの所為にしたら

安らぐとでも
いうのだろうか

何処にもなくて
探しようもなくて

当てもなく彷徨えば
ただ漫ろ歩けば

何処に行き着くの
何時に辿り着くの

誰に巡り逢うの
何に導かれ逢うの

多くのことが
私を通り抜けても

巷の人が
私を通り過ぎても

痛みすら感じないだろうか
愛すら得られないだろうか

確かなものなど一つもなくて
明らかなことなど何もなくて

それでもいいと
泣くしかなかった

それでも構わないと
縋るしかなかった

酷薄に壊れても

自分の所為じゃないと
平然と言い切ったし

無残に破れても

言われる筋合いはないと
見て見ぬ振りさえした

最初から痛みなど
最後まで愛なんて

知る筈がない
知る術もない

愛を幾つ数えたら
愛することができるだろう

夜を幾つ越えたら
出逢うことができるだろう

望んではいけないことに
手を染めて

放してはいけないことから
足を洗う

叶うはずがないのなら
望むはずもない

それなのに諦めきれなくて
それでもまだ待ち侘びて

迷ったとしても
立ち止まったとしても

繋がっているとしたら
あなたに逢いたい

途方 [07月]

二人だから
分かることがある

あなただから
通じる意味がある

こんな在り来たりな言葉に
たくさんの想いをのせて

簡単に心を掴むのは

一度だけ交わした言葉に
数え切れない愛情をのせて

容易に涙を流すのは

今までの時間が
あまりにも鮮明だから

あなたとの思い出が
今でも忘れられないから

この想いが
特別なことだと

知らなかった

あなただけだと
たった一つの愛を

気付かなかった

もしこの先
すれ違ってしまっても

ずっとこの先
逢えないとしても

もう二度と

あなたのことを
忘れることはない

もう決して

あなた以外の誰も
愛することはない

愛の形が変わってしまうなら
このまま時間を止めて

愛していたことが過去になるなら
この時間を壊して

大切なものなど他にはない
今でも何も変わらない