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至情 [08月]

あなたの胸に
頬を寄せれば

よく知った
あなたの匂いがした

私の安心できる薫り
あなたに守られている場所

あなたを一番感じられる
私だけの体温

あなたが優しく回す腕が
あなたが優しく撫でる手が

私の大切な手ざわり
あなたに愛されている証し

あなたが優しくかける言葉が
あなたが優しく触れる唇が

私の大好きな夢心地
あなたを愛している事実

ずっとこうしていて
いつまでも

ずっと守っていて
何があっても

今のように
私を傷つけないように

抱いていてくれる
あなたのままでいて

これからも
私を慈しむように

抱き締めてくれる
あなたのままでいて

私の大切な温もり
私の大好きな笑顔

あなたが好きなの

あなたの
その声が眼差しが

あなたの
その優しさが好き

私に当たり前を
変わらぬ日常を

くれたのは
あなた

あなたの
変わらない愛情

いつまでも
このままで

ずっと
このままで

椿堂 [08月]

僕の愛が
もし君に届くのなら

小さな奇跡は
始めから此処にあったのだと

やっと気づいたこと
伝えさせて

僕の心を
もし君に渡せるのなら

小さな歯車は
始めから廻っていたのだと

初めて分かったこと
赦して欲しい

腕の中で
安らぐ君が

まるで奇跡のようで

僕の隣で
微睡む君が

まるで天使のようで

僕の傍で
これからも
ずっと

そのままでいて

僕の愛で
これからも
きっと

君を守るから

どうしてだろう

涙の音だけは
こんなにはっきり

聴こえるのに

どうしてかな

心の温もりは
こんなに穏やかに

包み込む

どれほど愛しても

愛されているのは
僕の方

どれほど愛し続けても

愛をくれるのは
君の方

雲居 [08月]

叶えられない夢は
いつまで抱えていればいいのだろう

叶えられない夢と
いつから思い始めたのだろう

自分で作った高い壁を
下から眺めて

何処までも続く永い壁を
ただ見詰めて

越えられるはずがない
辿り着けるはずもない

このままでいたら
何を変えられるだろう

いつまでもいたら
何が変わるのだろう

見えない明日は
誰のためにあるのだろう

触れられない未来は
何のためにあるのだろう

儚いと嘆けば
何処までも遠退く

永遠を誓えば
直ぐに崩れる

触れられるものなんて
限りあるもので

見えるものなんて
限が知れている

溢れるほどの願いを
何に変えたらいい

縛り付けるほどの欲望を
何にぶつければいい

何にも触れないのに
あなたにも逢えないのに

たった一つ
掛け替えのないものさえあればいい

たった一人
大切な人さえいればいい

私には
あなたさえいればいい

仰望 [08月]

超えられないのは

あなたと私の

見上げる
この距離

私は
あなたの

何かを
隠そうとする

困ったような表情を

温かな
あなたの腕の中で

優しい
あなたの愛の中で

下から
見詰めることしかできなくて

あなたを
仰ぎ見ることしかできなくて

私では
あなたを

守ることができない

たとえ遠くても
たとえ高くても

手を伸ばせば

涙が零れ落ちそうな
その瞳に指を近づけ
涙を拭うことだってできる

何か言いたげな
その唇を指で触れ
優しい嘘を止めることもできる

それでも
私には

あなたの心を
抱き締めることが
できなくて

あなたに
抱き締められている
事実しかなくて

守られているのは
私だけだと
言われているようで

もどかしい
この距離を

どうしても
この壁を

越えることができない
壊すことができない

あなたの抱えている
秘密は何

あなたを
守るためには
どうすればいいの

あなたが
微笑むためには
どうしたらいいの

傍にいると
愛していると

あなたへの想いを
どうやって表せば

あなたは安らげるのか

どうしたらいいのか
分からなくて

いくら愛しても
伝えられなくて

私ができることは
何もできなくて

あなたに絡み付く腕に
いくら力を込めても

抱き締められない心を
包み込むことができない

こんなにも温かくて
こんなにも幸せで

今にも溶けてしまいそうなほどなのに

心が泣き崩れそうで
涙が溢れ出しそうで

見上げれば
見上げるほどに

どんどん遠くなるようで
あなたが放れていくようで

怖くなるの

在処 [08月]

なんだかんだで
此処に居るから

それはそれで
いいのかなって

いつの間にか
馴染んでいて

気付いたら
笑っていた

単純な日常は
陽だまりの様に

温かくて

見慣れた町並みは
感じるほどに

懐かしくて

帰る場所がある
生きる場所がある

此処になら
帰って来よう

此処でなら
生きてみよう

理由なんて
後からついてくる

何だって
やり直しもできる

何を怖がっていたのか
何に怯えていたのか

もう良く分からなくて
今ではどうでもよくて

あなたがいるから
ここにいるから

笑える今があるなら
温かい場所があるなら

あなたより大切な人なんて
ずっといない

他に必要なものなんて
きっとない

胸懐 [08月]

会いたいと思うほどに

あなたも
自分さえも

傷つけているみたいで

思うことさえ
いけないことだと

自分に暗示を
かけるようになった

会いたい

いくら言葉にしても
あなたに伝えられないのなら

思うことさえ
無駄なことだと

自分の手で
棄てるようになった

気付くといつも
あなたのことばかり考え

呆れるほどいつも
あなたのことばかり思い

思えばいつも
あなたのことばかり求めている

いくら会っても足りないから
いくら触れても足りないから

もっと会いたくて
もっと触れたくて

もっとあなたに
愛してもらいたい

誰の目にも
触れさせたくないほどに

自分のものに
してしまいたくて

願ってはいけない
言ってはいけない

よく分かっているけれど

そんなこと

気付かなかったと
知らなかったと

言ってしまいたくなるほど

あなたに会いたい