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細腰 [05月]

触れるほどに
涙を零す君は

僕の愛に
溺れている

そんな君を
助けようとは
思えなくて

君は僕だけに
繋がっていればいい

囁くほどに
声を震わす君は

僕に全てを
委ねている

そんな君を
手放そうとは
思いたくなくて

君は僕だけに
愛されていればいい

どれほど
傲慢だとしても

君は僕だけを
見ていればいい

心を投げ出して
身体を開く

涙は枯れても
心は晴れない

いつまで繰り返せば
何度繰り返せば

納得するの
満足するの

君を傷つけているのに
僕も傷ついているのに

君への想いは
この愛情は

もう手放してしまえば
楽になれるの

夢路 [05月]

気持ちは
通じなくてもいい

想いは
届かなくてもいい

願いは
叶わなくてもいい

あなたに
逢えなくても

あなたの声が
聞こえなくても

あなたの温もりに
触れられなくても

構わないから

あなたを想う時間を
ちょうだい

あなたを感じる心を
このままで

あなたを愛する私で
いさせて

気付かないで
振り返らないで
何も言わないで

あなたに見つめられると
本当の想いを
打ち明けてしまいそうになる

あなたの声を聞くと
この身体を
委ねてしまいそうになる

あなたの温もりに触れると
全てを
解き放ってしまいそうになる

何もなくていい
何もしなくていい
何も望まない

今でもこんなに

こんなに辛いから
こんなに怯えているから
こんなに涙が止まらないから

私の胸に
あなたを刻み込んで

このまま
意識を手放してしまえるのなら

目覚めることなく
眠りにつけるのなら

あなたを
愛し続けられるのなら

それ以上
何もいらない

会稽 [05月]

壊す人は
見ている側は
笑うあなたは

相手を支配する力に
高揚感さえ覚え

壊される人は
見られる側は
笑われる私は

無様な擬さに
無力感が侵潤し

抵抗の意味が
分からなくなるほど

自分の価値を
見失うほど

あなたが貪り続ければ
あなたに嬲られ続ければ

屈辱は消えることはない
侮辱に耐えられることはない

相互に同然だと言える
何かがあるだろうか

併存し合える相手だと
何処かで思えるだろうか

自分を傷つける全てのことから
逃げてしまえばいい

自分を壊す全てのものから
自由になればいい

あなたの幸せなんて
知りようもないから

あなた自身で生きればいい

私がどうこうしたいだなんて
分からないというのなら

私になんて触れなければいい

涙を拭う今ですら
幸せを願う自分がいて

絶望に支配される私ですら
喜びを求める事実があり

最大の復讐は
あなたと幸せになること

最高の栄誉は
あなたを幸せにすること

他の誰かのためじゃない
自分として

あなたと共に
愛と共に生きること

可撓 [05月]

愛はそんなに
簡単なものじゃない

心はそんなに
強靭なわけじゃない

私はそんなに強くない

あなたがいなければ
笑うことさえできないのに

独りでなんて
生きることはできないのに

私の手は
あなたと繋ぐためにあるから

私の足は
共に歩くためにあるから

愛を分かち合うのに
想いを語り合うのに

方法や手段や
時間や場所なんて

どうでもよくて

足りなければ
補い合いたい

多過ぎるなら
分かち合いたい

あなたに出逢ったことは
あなたを愛したことは

嘘じゃないから
夢じゃないから

あなたがいるだけで
こんなにも安心できる

あなたがいないだけで
こんなにも不安になる

約束して

いつも笑っていると

約束するよ

いつも笑顔でいると

あなたが泣きたい時には
私の腕の中で
泣いていいから

私が泣きたい時には
あなたの腕の中で
泣いてもいいかな

お互いに
お互いのことを想いながら

お互いを
お互いのことのように

感じ取ってくれるあなたが
愛してくれているあなたが

私を幸せにしてくれる
私に力をくれる

私を強くしてくれる

迷執 [05月]

憐れみながら
抱かれていても

それが
あなたなら

幸せだった

偽りだと
知りながらも

嘘でも
あなたなら

嬉しかった

壊れてしまえばいい
関係だって

棄ててしまえばいい
想いだって

しがみついて
放せない

寄りかかって
離せない

熱が伝わるから
愛だと思える

心が溶けるから
愛だと知る

あなたじゃないのなら
愛と呼ばないのなら

涙が溢れるこれは
何と言うの

心が震えるこれを
何と呼ぶの

佇立 [05月]

満ち溢れる愛情に溺れたら
幸せになれそうな錯覚が

掛け替えのないものを
呆気なく奪って行ってしまう

失いたくないものが多過ぎて
腕から溢れ出たら

零れ落ちた愛を
取り戻すことができるだろうか

深く堕ちて往くほどに
遠退くはずのあなたに近づく

意識さえ曖昧でも
あなたにさえ繋がれていたら

他の全てを放り投げて
この腕の中にはあなたしかいない

愛情なんて何処にも
見つけられなくなったとしても

色めき立つ感情に
煽られるように身体が反応する

あなたを陥れることさえ
快感になるなんて

その腕に抱かれるまで
知る由もなかったから

流されるままに愛に触れて
当たり前に傷つけた

あなたには全てを失った私が
どう映るのだろう

全てを壊してでも
手に入れたいと願ったあなたを

何もかもが離れてしまっても
放せないと誓ったあなたを

もう棄てなきゃいけないと
ずっと思っていた

もう返さなきゃいけないと
ずっと考えていた

それでもそんなこと
自分から出来る筈もなくて

それでもこんなこと
あなたに言える筈もなくて

あなたの愛を
あなたとの時間を

壊したくなかった
消したくなかった

どうしたらいい
どうしたら良かった

もう戻らないのなら
もう届かないのなら

愛していてはいけないよね
持っていてはいけないよね

受け取ったものは
たくさんありすぎて

今となっては
掛け替えのないものばかりで

今だからこそ
あなたしか感じない

今でもまだ
あなたしか愛せない