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眷属 [04月]

消えてしまいそうな
存在感だって

逸れてしまいそうな
身軽さだって

あなたがいるという
事実の方が大事で

あなたがいないという
未来が怖い

あなたさえいれば
私が生きる意味になる

あなたの笑顔が
私の生きた証になる

あなたの為に
生まれてきた

あなたと共に
生きている

自分なんて
すぐに壊せた

自分なんて
棄てて良かった

それでも
あなたがいたから

ずっと
あなたといたから

生きて来られた
生きることができた

何かに迷いそうになったり
何かに挫けそうになったら

困った時だけで良い
辛い時だけで良いから

ここに
戻ってきて

私のところに
帰ってきて

糸捌 [04月]

もっと溺れて

他に何も
見えなくなるくらい

もっと縋って

他の誰も
いらなくなるくらい

僕さえいればいいと言って
僕しかいらないと言って

あなたさえいればいい
あなたとだけいられればいい

見えない絆に掻い付いて
感じる想いを抱え

触れられる身体に寄縋り
聞こえる声を探した

あなたは僕の
何を知っている

僕はあなたの
何も知らない

愛してるって

こんな単純な言葉さえ
伝えられないのは

間違っているから

大好きだって

こんな当たり前の気持ちさえ
伝えられないのは

言ってはいけないから

僕があげられるものなんて
何もなくて

それでもこの温もりは
離したくなくて

あなたを想う気持ちを
棄てたくはなくて

あなたへの想いを
置いたままにしたくなくて

あなたの唇から
奏でられるのは

僕の名だけでいい

僕の唇から
届けられるのは

あなたへの愛だけでいい

螺旋 [04月]

あなたから掛けられる
暗号のような言葉を探して

辿り着いた答えから
あなたの気持ちを垣間見れば

こんなにも幸せにしてくれる
あなたの心に触れることができる

これがあなたなのかと
これが愛情なのかと

知ることが出来るから
感じることが出来たから

意味を考え始めたら
限がないけど

愛を求め続けたら
軈終りがくるけど

それでもあなたが
私を包んでくれているようで

やっぱりあなたに
愛されているようで

どんなに美しいものでさえも
どんなに荘厳な景色でさえも

あなたが創り出した
世界でしか存在しないから

華やいだ彩りも
芳しい馨も

あなたが居なければ
輝きを失って

あなたが居なければ
光さえ失う

何処に居たって
何をしていたって

あなたしか見ていないことを
あなたしか感じていないことを

改めて思い知らされるだけ
今更に求めさせられるだけ

搦手 [04月]

辛い気持ちを
苦しい現状を
噯にも見せず

いつも笑うことを
誰に強いられているの

泣いたらいけないと
誰に言われているの

どうして
誰の前でも
心を閉ざしているの

どうして
僕の前でも
心を曝け出さない

自分で望んだと
自分のせいだと

そこまで
責める理由を
知らなくて

そこまで
追い詰める訳が
わからなくて

何もできなくなる
何も言えなくなる

君が泣き喚くのを
見てればいいのかな

君が崩れ落ちるのを
待てばいいのかな

言葉をかけることすら
望まない

触れることすら
赦されない

傍にいるだけで
いったい何の役に
立てるというのだろうか

見詰めるだけで
いったい何が
出来るというのだろうか

君を想うだけで
苦しくなる

君を感じるだけで
愛おしくなる

それでも君は
僕に何も
教えてはくれない

皓白 [04月]

もとより
私には何もなくて

はなから
知りようもなかった

掴んだはずのあなたは
易しく振り解けて

握り締めたあなたは
弾けて掻き消えた

あなたは今
何処に居るの

あなたは今
何をしてるの

どうか
あと一つだけ

願いを叶えて

どうか
もう一度だけ

あなたに逢わせて

いつからか
真っ白な世界に

あなただけが生まれた

気がつけば
独りだった私に

あなただけが居た

間違えようがない
隠しようもない

初めて感じた
人の気配

初めて知った
人の温もり

あなたは今
誰と居るの

あなたは今
誰を愛しているの

雅量 [04月]

あなたの愛は
変わらないけれど

私の愛は
いつか変わってしまう

あなたはこんなにも
愛してくれるけれど

あなたほどに
愛しているとはいえない

いくら愛しても
どれほど愛しても

あなたはそれ以上の
あなたは私以上の

ことをしてくれるから
何かを返すから

あなたに
敵うはずもない

いつもあたたかく見守って
いつも大きく包み込み
いつも変わらず愛し続けてくれる

あなたになら
敵わなくても構わない

何もできなくて
はがゆくて

甘えるばかりで
守られるばかりで

だけど私も

私だって

あなたを愛している

そのままで

いつまでも
変わることなく

そのままで

これからも
私を愛してほしい

それだけで
満たされるから

絶え間なく
満ち溢れるから

もう少し待って

もう少し
このままでいさせて

あなたよりも
もっとずっと
愛するから

あなた以上の
愛をきっと
届けるから

それまでは
今だけは

あなたの
愛の中にいさせて

淅瀝 [04月]

大きな樹は
高く空へと聳え立つ

生い茂る葉は
青々強い輝きを増して

季節が廻れば
光と共に

色も輝きも
変わって往くのに

それでもまた
同じ季節がやってくるから

此処で生きることを
やめることさえ出来ない

煌びやかな折節を
何度繰り返しても

遣瀬ない落葉が
幾度眩めいても

力強い幹から
伸びる枝には

今年もまた美しい緑が
心までもを彩っていく

迸るような命の輝きに
瞬きさえ出来ぬほど

幾ら魅了されたとしても
どれ程心囚われたとしても

我身から落ちた葉さえ
生き永らえる糧として

生きなければならない現実が
生かされている毎日を

見詰めることしか出来ない
佇むことしか出来ずにいる

散る葉を止めることも出来ず
自分だけが残らざるを得ず

時間の流れだけを見詰めては
涙を溢す手立てさえ知らない

後どれくらい
こうして生きるのだろう

まだどれほど
生き続けるのだろう

言霊 [04月]

愛してる

こんなにも

あなたしか
見えなくなるくらい

愛してる

いつだって

他に何も
いらなくなるくらい

愛してる

いくら考えても

真実なんて
見つけられなくて

いくら言い聞かせても

気持ちを
抑えられなくて

代わりに手に入れたのは

愛してる

昔から知っていた
この言葉

いくら伝えても
枯れることなく

いくら紡いでも
伝えきれない

愛してる

気付くと
この言葉ばかりが

あなたを表す
言葉になっていて

あなたのことを
想うだけで

心も身体も
私の全てを

先から先まで
終わることなく

この言葉が
駆け巡って

果てしない
記憶を呼び覚まし

私の何かを
目覚めさせたから

こんな気持ちがあることを
教えてくれたのはあなた

愛することを
気付かせてくれたのはあなた

愛してる

可笑しいくらい
愛してる

どうしてなのか
どうしたらいいのか

何も
分からないけれど

呆れるくらい
愛してる

あなたを

あなただけを

愛してる

不実 [04月]

あなたは

僕に何をくれるの

いつも
痛みしか運んでこない

あなたは

僕の何を知っているの

いつも
悲しみの中にいる

あなたは

僕のどこを愛しているの

共に生きる意味なんて
どこにあるのだろう

共に歩む先なんて
どこにあるのだろう

それなのに

あなたから放れられなくて
あなたを手放せなくて

あなたを縛り付けた

独りにしないでと
もう放さないと

傷つけている
自覚もある

傷ついている
事実もある

それでも
手放す勇気は持てなくて

あなたを
傷つけてでも

あなたを
引き摺り込んででも

あなたの手をとり

溺れていきたい
堕ちていきたい

愛おしいあまりに
狂おしいあまりに

誰の手にも
触れさせたくはなくて

僕の手で
壊してしまいたくなるから

早く逃げて

もし眼の前から
僕がいなくなったとしても

もしあなたの前から
僕が消えてしまったとしても

あなたは僕を
探してはくれないでしょう

あなたは僕を
愛してはくれないでしょう

今さらあなたを失って
愛したあなたを失って

他の誰かのものになるのを
見せ付けられるくらいなら

あなたを縛り付けてでも
僕のものにしたくて

あなたは

僕を愛してはくれないの