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素懐 [04月]

夢だけを見て
生きられるのなら

それが望みだと
言ってしまえばよかった

触れ合うほどに
愛おしくなるなんて

馬鹿げた感覚を
信じようとはしなかった

あなたはここにはいない

私が消してしまったから

なのにあなたの温もりを感じて
こうしてあなたの香りを纏う

閉じたはずの手を広げるとき
今度は何を掴めるだろうか

大切な人を失って
全てを閉ざして

心は歪み
嘘を信じた

泣き疲れて眠る夜は
必ずあなたの夢を見る

心の軋みになんて
耳を傾けたりはしない

涙の痕なんて
気付くこともない

目覚めた後の腫れた眼は
夢が終わったことを告げる

あなたを奪わないでと
心から願った

この夢から覚めないでと
何度も祈った

冷たい頬は
全てを壊す

凍えてしまえと
言わんばかりに

夢見ることさえ
赦されないのか

愛することさえ
奪われたのに

目覚める前も
目覚めた後も

私は独りだ
ずっと独りだ

夢でもいい

もし触れられるのなら

それだけで
幸せだと思えるのに

幻でもいい

もし愛せるのなら

それだけで
何もいらない

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