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糸遊 [11月]

こんな人知らない

あなたは私を
愛してはくれないから

こんな人いらない

あなたは私を
傷つけるだけだから

刻み込まれた記憶は
拭い去れない感覚は

いつまで蝕む
どこまで蠢く

いくら泣いても
届かないなら

いくら求めても
終わらないから

揺れる世界は
真っ直ぐになど進めない

崩れる視界は
真っ逆さまに堕ちるだけ

何度同じことを
繰り返しても

呆れるほど
混じり合っても

覚えた感覚は
心を甚振る

残った記憶は
心を弄ぶ

いつまでも
変わらないのに

何も
変わらないのに

いつになったら
満たしてくれるの

どうやったら
満たされるの

いくら愛しても

感じるほどの
あなたには

溺れて往けない

強く願っても

触れるはずの
あなたには

辿り着けない

瓦礫 [11月]

幾ら愛しても
あなたすら見えなくて

幾ら求めても
何も手にできなくて

廻るほどに
形を変えて

撓るほどに
姿を変えて

こんな筈じゃないと
これじゃないと

何度も逃れようと
足掻いてみても

幾度と離れようと
踠いてみても

連れ戻されては
繋がれて

地獄の果てで
生かされて

枯れることのない涙で
身体を濡らし

渇くことのない汗で
心を乱し

突き上げられる衝動に
身を任せるしかなくて

衝き動かされる熱情に
縋ってみせるしかなくて

悪夢はいつ終わる
現実はどこまで進む

ここに居て
何の意味もないのに

ここで生きて
何の価値もないのに

塵屑の人生は
玩具の魂は

棄てることさえ
赦されず

待ち侘びたところで
何にもならない

浮橋 [11月]

目を閉じれば

いつだって
あなたに逢える

耳を塞げば

どこだって
あなたの声がする

唇に触れれば

今だって
あなたのことを思い出す

それはまるで
ここに居るかのようで

それはまるで
夢に漂っているかのようで

それはまるで
愛されているかのようで

それは
一時の幸せをもたらしても

本当に
望んでいるものではないから

満足なんてしない
納得なんてしない

あなたを
忘れたいわけじゃない

あなたを
思い出にしたいわけじゃない

触れたいのに
愛したいのに

どうしてそれは
赦されないの

どうしてあなたは
隣に居ないの

これは夢

いつか醒める夢

そう言って

今でも
私の傍に居ると

これからも
私を愛していると

どんなときでも
あなたに逢えると

信じることしか
できないから

蝴蝶 [11月]

君さえいればいい

躊躇うように
恥らうように

羞恥に肌を染めていく君が

余りにも美しくて
余りにも愛おしくて

触れてしまえば
消えてしまいそうで

愛してしまえば
傷つけてしまいそうで

君の吐息に導かれるように

身体を重ねて
唇を食んで

君を放さないように

肌を重ねて
時を刻んで

君を僕だけのものにする

ここから飛んで行かないで
僕から逃げ出さないで

僕だけの君が欲しくて
僕だけのものにしたくて

傷つけてしまいそうになる
壊してしまいそうになる

どうやったら守れるだろう
どうやったら奪えるだろう

他の何も見なくていい
他の誰も感じなくていい

僕だけを見て
僕だけを感じて

こんなにも君を
愛しているから

これからも君だけを
愛し続けるから

幾ら愛しても
足りなくて

幾ら抱き締めても
一つにはなれなくて

いつか
全てを失っても

いつか
夢が覚めても

君さえいれば
それでいい

燐光 [11月]

重ねた日々が
あなたとの思い出が

これからの
生きる道へと繋がる

たとえそこに
あなたがいなくても

あなたが輝けるように
あなたを愛せるように

あなたのことを感じ
あなたのことを想い

失って初めて
気付いた

どれほどあなたに
愛されていたのか

あなたには
いくら望んでも
逢えないから

あなたには
いくら願っても
届かないから

触れられない
今になって

見詰められない
今さらに

こんな気持ちに気付いた
届けたい言葉を見つけた

あなたはもういないのに
伝えることはできないのに

想いは
止め処もなく溢れて

願いは
止め様もなく零れる

聞きたい

あなたの口から
あなたの言葉で

知りたい

あなたの想いを
あなたの心も

こんなにも

自分の想いが
あなたへの想いを

邪魔をする

もう言わない
もう願ったりしない

だから最後に

逢いたい
話したい
抱き締めたい

あなたには
ここでしか
逢えないから

あなたがここに来て

私に逢いに来て

静謐 [11月]

今のままでいい

こんなにも近くに
あなたがいるから

このままでいい

こんなにも愛おしい
あなたがいるから

見詰め合えるほどの
触れ合えるほどの

今の距離がいい

息がかかるほどの
熱が伝わるほどの

あなたの腕の中がいい

頬を寄せれば
あなたの鼓動が聞こえる

耳を澄ませば
あなたの想いを感じる

どこまでも
求めるばかりで

いつまでも
満たされなくて

あなたを
忘れられそうにない

あなたを
消せそうにない

これからもずっと
あなたは私を
愛してくれるだろうか

この先もずっと
私はあなたを
愛し抜けるだろうか

時間が
溶けてなくなったとしても

いずれ
消えてなくなったとしても

あなたの熱は私の中に
この想いだけは留まって

離さないから
逸れないから

あなただけいればいい
あなたさえいればいい

充溢 [11月]

溢れる愛は
あなたが触れるほどに

止め処もなく
零れ落ちていき

あなたの愛で
あなたへの愛で
こんなにも満たされる

あなたの腕の中で
こうして守られてきた

あなたの微笑みの中で
穏やかに過ごしてきた

今までもそれが
永遠に続くと信じてきた

今でもそれを
疑っているわけではない

他の人に
その微笑みを振り撒けば
息もできぬほど締め付けられるし

ふとした瞬間に
知らない顔を覗かせれば
あなたがいなくなる不安に駆られる

そんな時でも

私を守ってくれているのは
私を愛してくれているのは

あなただから

あなたに触れてもらえば
それだけで安心できた

あなたに抱かれていれば
それだけで怖くなかった

傍に来て
好きだと言って
ここにいて

愛してほしい
笑顔でいてほしい
抱き締めてほしい

願いはいくつも溢れて
あなたを縛り付けてしまいそうで

可笑しくなるほどに
あなたしか見えなくて

狂おしいほどに
あなただけを愛していて

震えるほどに
放したくなくなる

あなたに愛されて
全てが愛だと知った

出逢った頃から
今までも
これからも

永遠に変わらない

いくら愛しても
足りないくらい
愛してる