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虚空 [11月]

舞い散る穹窿に
手を伸ばせば

あなたに
届かないだろうか

あなたに
触れられないだろうか

いくら求めても
私の手には
届かなくて

もう
あなたは
いないのだと

もう
ここには
いないのだと

改めて
気付かされただけ

出逢ったことが
嘘みたいで

愛したことが
夢みたいで

あなたを抱きしめたくて
あなたを探している

降り注ぐ花びらは
可憐に風に舞って
私を通り抜けていく

肌をかすめるほどに
あなたを感じずには
いられない

ひとひら

手にした
記憶の断片

瞬きのように儚く

ただ
美しいと眺めていても

零れ落ちるだけだから

あなたは
戻って来ないから

くるくると舞い落ちる

ひらひらと流れ落ちる

二度と
手にすることはできない

あなたのような
花びら

儚い色は
今にも
消えてしまいそうで

淡い形は
今にも
壊れてしまいそうで

遠退いていくだけの
翳め往くだけの

あなたの存在は
あなたの記憶は

いつまで
私のものだと
言えるだろうか

こうして失った痛みは
いつまでも苛む

消えてしまうことを

いつまでも
受け入れられなくて

出逢ったことを

いつまでも
刻み込んでいたくて

なのに
離れるばかりで
舞い散るばかりで

あなたを
消し往くための

華の舞
風の音
涙の痕

私だけ
置き去りのまま

またここに戻る日を
夢見たまま

二度と届かないあなたに
手を伸ばす
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